次期法改正に向けた検討会〜「2040 年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会

 課題山積の介護保険制度に対して、令和7年4月10日に、「2040 年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会が開催され、中間とりまとめが発表されました。

 今、介護の現場では、要介護者の増大や深刻な人手不足、収益の悪化などの課題が山積しています。これらの課題の解決に向けて様々な議論や検討が進められていますが、2027年の時期介護保険法改正は、もしかすると今までの流れとは全く変わることになるのかもしれません。

 中間とりまとめ資料でも強調されているように、現状や課題が全国一律ではなく、地域によってかなり違いがあることが浮き彫りになっています。特に、現状と課題から全国を大きく分けると、中山間・人口減少地域、大都市部、一般市等の3つの地域があることが分かり、地域ごとに取り組むべき課題も異なることが示され分ました。

 また、同じ日に、NHKの調査結果が発表され、訪問介護事業所が1つもない自治体が109市町村あり、1つしかない自治体も268市町村で、合わせて377の市町村、全市町村の5分の1以上になるとのことです。

 特に、ヘルパーの移動にも時間がかかる中山間・人口減少地域は深刻で、事業所数の激減で受け持ち地域が広がることで、事業地域が拡大することによる自動車ガソリン代などのコスト増大、訪問回数を減らさざるを得ない現状、訪問回数を減らしたことによることによる収益悪化、など三重苦に見舞われているようです。
 整合性や公平性に配慮しつつ、これらの地域で持続的なサービスを提供してゆくには、地域の実情に合わせて、現在の訪問回数に準拠する報酬体系から、包括的な評価の仕組みを設けることも検討してゆく必要があるとされました。

 一方、東京をはじめとした大都市部においては、高齢者人口が2040年にかけて増加し続け、サービス需要が急増するため、増加する介護ニーズに応える仕組みを検討する必要があるとされました。
 もちろん、中山間・人口減少地域と一般市等、大都市部は明確に分けられるわけではなく、スペクトラム的に、モザイク状に存在しています。

 増加し続ける介護ニーズに対応するためには介護人材確保が最大の課題で、賃上げや処遇改善の取り組みの推進が必要とされています。
 また、業務効率化や生産性向上により、職員の業務負担の軽減が図られたり、業務の改善や効率化により生み出した時間を利用者との直接的な介護サービスに充てられたり、残業の削減や休暇の確実な取得、研修機会の付与など職員への投資に充てることにつながるなど、業務効率化や生産性向上への取り組みは、人材確保と職場環境の改善にも寄与すると考えられています。
 さらに、限られた人的資源を有効活用してゆくためにも、また、バックオフィス業務などの間接業務の効率化のためにも、今後、協働化や大規模化といったことも求められてゆきます。

 少子高齢化や人材不足、デジタル化が進む現在において、ICTやDX化は欠かせません。それは、介護業界においても同様です。業務効率化や生産性向上の中核を担う介護テクノロジーの導入や利活用には、デジタル中核人材の育成や配置が欠かせません。これまで介護業界とは無縁と思われていたITパスポート試験も、今後は積極的に取得を目指してゆく世の中になるのかもしれません。

 個人的意見に過ぎないのですが、『介護福祉士×ITパスポート』は、今~将来的にも、介護業界で最も求められている「未来を変える鍵」になりうるものだと思います。自分が関わってきた仕事へのインスパイアを込めて、これからの介護の新しいスタンダードを築き上げてゆくムーブメントに合流してゆければ、と思いながら私は毎日を過ごしています。

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