
1. デジタル中核人材養成研修の目的と概要
デジタル中核人材研修は、介護現場の生産性向上を目指し、介護ロボットやICTなどの介護テクノロジーの導入において中心的な役割を担う人材です。この研修は、生産性向上の意義を理解し、介護テクノロジーを活用するスキルを習得した人材を育成することを目的としています。
直近の開催は、昨年10月から今年の2月にかけて、オンラインで開催されました。
研修は、事前課題、オンラインによる集合研修、自職場での実践(宿題)、そして確認テストで構成されています。事前課題では、厚生労働省のビギナーセミナー動画やオンデマンド動画で基礎知識を学習します。集合研修はオンライン(Zoomなど)で行われ、講義と演習を通じて生産性向上ガイドラインに基づく活動や介護テクノロジー導入計画の立案などを体験します。集合研修と並行して、受講者は自職場で業務分析や介護テクノロジー導入計画書の作成といった実践課題に取り組みます。
1-1. デジタル中核人材に求められるスキルとマインドセット
デジタル中核人材には、以下のスキルセットとマインドセットが求められます。
- 介護現場でのテクノロジー活用と生産性向上に関する基礎的な理解:
- 背景や現状、介護現場に関する理解(介護職の倫理、利用者、介護過程、生産性向上の必要性、科学的介護など)
- テクノロジーに関する理解(活用できるテクノロジー、導入・運用のコスト、ネットワーク環境、行政からの支援、セキュリティ対策、個人情報保護など)
- テクノロジーを活用した生産性向上を推進するためのスキル:
- 課題解決スキル(各種ツールの活用、現場課題の把握と解決策の検討、計画への落とし込み、テクノロジーの比較検討など)
- ファシリテーションやリーダーシップ(チームの統括、コミュニケーション、心理的安全性の確保、プレゼンテーション能力など)
- プロセスマネジメントスキル(取り組み内容と手順の理解、進捗管理、問題解決、成果分析、振り返りと計画の見直しなど)
1-2. 研修の実施体制と運営
研修の実施にあたっては、都道府県の担当者が研修の企画立案・実施を行い、運営事務局が参加者募集、受講者管理、講師手配、コンテンツ準備、修了テスト実施、アンケート実施などの業務を担いますす。メイン講師は講義の遂行とサブ講師への指導・連携を行い、サブ講師は受講者のグループワークのサポートなどメイン講師の補助を行います。
研修の企画は研修開始の6ヶ月前を目処に開始し、事前準備(日程確保、講師手配、受講者募集など)は3ヶ月前を目処に行われます。研修実施中は、講義運営のサポートや出欠管理、オンラインツールの操作説明などが行われます。研修後には、修了要件の確認、アンケート実施、修了生のフォロー、名簿管理などが行われます。
2. デジタル中核人材養成研修の受講対象者とカリキュラム
デジタル中核人材養成研修の受講対象者とカリキュラムは、以下の通りです。
- 目的と到達目標: 介護現場の生産性向上を目的に、介護テクノロジーの活用や質の高いケア実現スキル、チームでの業務改善リーダーシップ、科学的介護の知識・スキル習得を目指します。これにより、介護サービスの質向上と介護テクノロジー導入・業務改善プロジェクトの推進能力を養います。
- 受講者: 介護サービス施設・事業所等での勤務経験が3年以上あり、業務改善や介護テクノロジーの導入・運用に関わっている、または今後取り組みたいと考えている方が受講対象になります。
- 研修プログラムの構成: 事前課題、集合研修(オンライン)、自職場での実践(宿題)、確認テストで構成されます。集合研修は3日間で、その間に自職場での実践課題が課されます。
- 標準的なカリキュラム: 介護現場の生産性向上を促進するための中核人材育成を基に作成されており、生産性向上に関する知識、介護過程、介護職の倫理、介護ロボット・ICT活用の基礎、集合研修での演習(業務改善、導入、利用者支援)、自職場での取り組み課題(業務分析、導入計画作成)、確認テストが含まれます。
2-1. 事前課題
オンライン講義開始前に行う必須の動画視聴やオンデマンド動画受講で、受講者のレディネスを整える目的があります。内容は、厚生労働省のビギナーセミナー動画とオンデマンド動画(介護職の倫理、介護過程、介護テクノロジー活用の基礎)です。
2-2. 集合研修のカリキュラム概要
集合研修は講義と演習を組み合わせ、基礎知識の習得と実践的な学びを促します。
- 1日目: 介護現場の業務改善: 介護保険制度、生産性向上の基礎知識、課題の見える化、ケーススタディを通じた実践的な問題解決スキルを習得します。
- 2日目: 介護テクノロジーの導入: 介護テクノロジーの特性理解、業務改善に向けた導入計画策定スキルを養います。グループワークや演習を通じて、現場の課題解決に直結する導入・活用スキルを身につけます。
- 3日目: 利用者支援に向けた活用: 介護テクノロジーを活用した利用者支援の具体的方法を学び、実践を通じて個別ケアの改善方法を考案します。
2-3. 集合研修後の宿題(自職場での実践)
集合研修期間中に課される2つの実践課題です。
- 課題① 業務分析: プロジェクトチームの立ち上げや既存の委員会活動を通じ、自職場の課題を可視化するための取り組みを行います。
- 課題② 介護テクノロジー導入計画書の作成: 業務分析で可視化された課題を解決するための介護テクノロジー導入計画書を作成します。
これらの課題は、生産性向上ガイドラインで公開されている「改善方針シート」と「進捗管理シート」を使用して作成し、次のオンライン授業で共有します。
2-4. 確認テスト
集合研修終了後1週間以内にオンラインで実施され、学習の達成度を確認します。出題範囲は集合研修の講義内容に沿っています。
3. まとめ
デジタル中核人材養成研修が、単なる知識習得に留まらず、実践的なスキル習得と現場での応用を重視していいます。研修は、メイン講師とサブ講師が連携しオンラインツールも効果的に活用しながら、受講者が主体的に学び、自職場の課題解決や介護サービスの質向上に貢献できる人材へと成長することを支援する構成となっています。ケーススタディやグループワーク、自職場での実践といった多様な学習方法を取り入れることで、理論だけでなく、介護現場での「変革」を実現するための能力を養うことを目指していると言えます。
※本記事は、PDFの『手引き「デジタル中核人材養成研修 令和6年度 厚生労働省委託事業「介護デジタル中核人材養成に向けた調査研究事業一式」令和7年3月厚生労働省 老健局』をGoogle Geminiで要約した文章を元に構成しています。
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