
さて、3回目の今回の記事では、実際のタイムスタディ調査の進め方のイメージについて、お話したいと思います。
訪問介護事業所におけるタイムスタディ調査とします。
実際の訪問介護サービスに入る直接支援と、それ以外の間接業務に大きく分けて、それぞれについて、さらに詳しく現状に合った項目を考えてゆきます。
訪問介護において直接支援には必ず移動時間が必要になりますので、移動時間も含めて直接支援の時間としても良いと思います。
間接業務は、訪問介護サービスを提供するに当たって必ず必要になる、ケアマネ等外部機関との連絡時間、契約書や計画書作成等の事務作業時間、担当者会議への出席時間、実績取りまとめに係る時間など、洗い出しを行います。
さらに、研修や事業所内ミーティングに係る時間、登録ヘルパーの給与計算や確認作業の時間、ケアマネへの実績報告に係る時間等の他、人によっては担当者として、運営基準等で定められている各種委員会や会議の準備や開催、取りまとめ等もあると思います。
まずは、こういった項目を、生産性向上委員会やプロジェクトチームの担当者か、サービス提供責任者全員が集まって出し合うのはいかがでしょうか?
いろいろな人が出し合うことで、漏れや気づかなかった項目にも気づけるかもしれません。
まずは、誰かが出したことに意見をしないで、できるだけ出し合うのが良いです。
そして、出しきれたと思ったら、これとこれはまとめよう、といった感じにすると良いかと思います。
例えば、虐待防止委員会の準備といった項目と特定事業所加算で求められている定例会議の準備、等といった項目は、委員会・会議の準備、等といった感じにまとめると良いでしょう。まとめることで、サービス提供責任者ごとの負担の偏りが把握できます。
こういった感じで、たくさんの人に関わってもらいながら進めてゆきましょう。
項目出しに関して、特に注意が必要なのは、そもそもタイムスタディ調査は生産性向上という目的のために実施されるものです。そこを忘れていると、本来の目的につながらないばかりか、負担だけが増えることになります。この点は、特に注意が必要です。
訪問介護事業所においては、介護ソフトを導入している事業所でも、まだまだアナログなところが残っている場合も多いかもしれません。
例えば、ケアマネとの計画や実績のやり取りも、ファックスや直接訪問での手渡しなども残っているかもしれません。
ケアプランデータ連携システムが今年6月から1年間、無料で使えるようになります。
訪問介護事業所からケアマネへの実績データの送付は、ケアプランデータ連携システムを使えば、ドラッグ&ドロップで、ケアマネの事業所ごとに自動で振り分けて一括送信可能です。実績報告書の添付も可能です。
数時間かかっていた作業が、数秒で終わらせることができます。
他に、例えば、勤務表を紙に書いて提出したり、登録ヘルパーの給与計算や各種加算の人材要件等をエクセルでおこなっていたりしている場合にも、別途項目出しをしておけば、数時間〜十数時間化かっていた作業も数秒で終えることができるようになります。
このように、時間短縮できない業務と、デジタル化によって大幅に時短可能な領域を区分することがタイムスタディ調査の肝になります。
改善計画実施前のタイムスタディ調査で見える化された業務時間→改善計画の実施→改善計画実施後のタイムスタディ調査で見える化された業務時間→新たな改善計画→新たな改善計画実施後のタイムスタディ。。。といった感じでPDCA サイクルを続けてゆけば、きっと真の生産性向上につながると思います。
短縮された時間も、何%の削減ができたのかといった数字で表されることができ、KPIを通じて、実効性のある取り組みができます、
介護事業運営にもストラテジが必要
KPI(Key Performance Indicator)は、重要業績評価指標とも呼ばれ、目標達成度を測定するための具体的な指標です。組織やプロジェクトの成功を評価するために使用されるもので、企業の戦略や目標に合わせて設定されます。KPIは、設定した目標が進捗しているかどうかを具体的かつ分かりやすく示すためのツールであり、定期的な測定や分析を行うことで、戦略の改善につなげることができます。
KGI(Key Goal Indicator)は、重要目標達成指標のことで、企業やプロジェクトの最終的な目標を具体的に示す指標です。KGIは、達成すべき目標そのものを定量的に表し、進捗を評価するための最終基準となります。例えば、売上目標として「年間売上10億円達成」などがKGIに該当します。顧客満足度の向上では「顧客満足度90%以上を維持する」などが具体的なKGIとして設定されます。
KGIは「何を達成すべきか」を示す大きな目標であり、そこに至るまでのプロセスを測定するために、KPI(Key Performance Indicator)が活用されることが多いです。つまり、KPIが短期的な進捗指標であるのに対し、KGIは長期的な目標指標とも言えます。
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