介護保険の指導・監査・検査
事業者向け 早わかりインフォグラフィックガイド
3つの行政的関与:性格とリスクレベルの比較
運営指導、監査、業務管理体制確認検査は、目的や性格、そして事業者にとってのリスクが大きく異なります。その違いを理解することが、適切な対応の第一歩です。
上のグラフは、各関与の性格と、それに伴う行政処分等のリスクレベルを視覚的に示しています。「支援・予防」から「調査・処分」へと性格が厳しくなるにつれて、リスクも高まります。
① 運営指導
性格:支援・教育
サービスの質の確保・向上を目的とした「支援」です。事業者と共に改善点を探し、より良い運営を目指す、予防的・教育的な性格を持ちます。
主な焦点:
日常の事業所運営、基準遵守状況
主な対応:
口頭指導、改善報告書の提出
② 業務管理体制確認検査
性格:システム評価
法令遵守体制(ガバナンス)が組織全体で機能しているかを確認する検査です。個別の事案ではなく、組織の仕組みそのものを評価します。
主な焦点:
法令遵守規程、内部監査体制の整備・運用状況
主な対応:
業務管理体制の是正勧告・命令
③ 監査
性格:調査・処分
不正請求や虐待など、重大な不正・違反の疑いがある場合に実施されます。事実関係を解明し、指定取消などの厳しい行政処分を視野に入れた調査です。
主な焦点:
不正請求、高齢者虐待などの重大な違反行為
主な対応:
指定の効力停止、指定取消
発生の契機と頻度
各手続きは、いつ、どのようなきっかけで始まるのでしょうか。計画的なものと、問題発生時に行われる反応的なものがあります。
運営指導
🗓️
計画的・定期的
行政の年間計画に基づき実施されます。
業務管理体制確認検査
6年/回
一般検査は定期的
重大事案発生時には「特別検査」が実施されます。
監査
⚠️
不正等の疑い発生時
通報や運営指導での発覚が契機となります。
監査への流れ:主なトリガー
運営指導は支援的な性格ですが、その結果、不正が発覚すれば厳しい「監査」へ移行することがあります。この流れを理解し、日頃の運営に活かすことが重要です。
通報・苦情
(利用者・職員から)
運営指導での
不正等の発覚
国保連等からの
情報提供
監査の実施
結果として起こりうること:行政措置の比較
各手続きの結果、どのような行政上の対応がなされるのかを比較します。監査は事業の存続に関わる重い処分につながる可能性があります。
事業者への重要なメッセージ
① 各制度の理解
運営指導は「改善の機会」、監査は「法的リスク」と捉え、性質に応じた準備と対応を行いましょう。
② 内部管理体制の強化
法令遵守は組織全体のシステムです。規程整備、研修、内部監査を継続的に実施し、自律的な改善能力を高めましょう。
③ 予防的アプローチ
監査の多くは、日々の運営の問題から発展します。予防的な視点を持ち、問題の早期発見・是正に努めることが最大のリスク管理です。
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