介護・福祉~法令順守のための業務管理体制

 皆さまの事業所では法令順守、徹底されていますか?
 介護保険や障害福祉サービスの指定事業所は、各種の運営基準や加算要件などの法令を順守することで初めて、保険料や税金からなる介護報酬を受け取ることができるのです。

 各種の運営基準や法令が守られているか、解釈は間違えていないか等を行政が確認するのが、6年に1回の運営指導なのですが、現実問題として実施率が非常に低く、守るべき法令や基準を理解しないまま事業運営してしまっている場合も少なくないのが現実です。運営指導の際に重大な不正が発覚すれば、事業所の運営そのものが危ぶまれる事態になりかねません。
 私たち、指定介護保険・障害福祉サービス事業所は襟を正してゆく必要があります。

 先のコラム 【速報!】介護・福祉現場の未来が変わる!?「新しい資本主義実現会議」で示された希望の光とは でも取り上げましたが、私たちのお給料に直結する医療・介護の公定価格の引き上げが明記されました。
 朗報ではあるのですが、一方で、国全体の生産性を上げて国民の所得を増大させることも明記されています。これは、生産性の低い会社や事業所を淘汰させることや、生産性の低い業界や業種から生産性の高い業界への人材移転を推進してゆくことと表裏一体です。無条件に基本報酬のアップが実現するというのは過剰な期待とも思えます。

 短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービスにおいては現在、生産性向上推進体制加算がありますが、それ以外のサービスに関して生産性向上に関する事項は、処遇改善加算において設定されています。ひょっとすると、これらの生産性向上の取り組みに関する基準の一部が基本報酬に組み込まれる可能性もあるのではないかと個人的に感じています。

 話は戻りますが、事業所の法令順守の核となるのが「管理者」です。管理者は、「従業者の管理、利用の申し込みに係る調整、業務の実施状況の把握、その他の管理を一元的に行い、従業者に運営基準を順守するために必要な指揮命令を行う」こととしています。
 それでも、運営基準違反や法令違反で行政処分を受ける事業所や法人が後を絶ちません。また、管理者は法令順守のみならず、多種にわたる業務に携わっています。
 そこで、『管理業務体制』の整備が必須となっています。法令や基準ができたのが、平成20年の介護保険法改正や、平成24年の障害福祉サービス関連法の施行からなのでかなり前からある制度です。報道でも多々取り上げられている通り、介護や福祉業界では様々な課題や問題がありますが、それでも不正や法令違反が後を絶たない現状に、「本当に私たちは国民の期待に沿える仕事ができているのか?」と自問自答することもしばしばあります。

 運営基準が守れてこそ、法令順守があたり前であってこその意見が言える立場ではないのでしょうか?

 介護保険事業者における業務管理体制の整備は、介護サービス事業者の業務管理体制で定められています。今一度、「介護保険事業者における業務管理体制の整備と届出先」にてご確認ください。令和7年度の最新の情報は、「介護サービス事業者業務管理体制確認検査実施要領」で示されています。
 障害福祉サービスにおいても同様です。障害福祉分野における指導監督でまとめられています。「業務管理体制整備の届出について」や「障害福祉分野における運営指導・監査の強化について」でご確認くださいますよう、よろしくお願いします。

 法令順守は、事業所運営において必須です。業務管理体制は法令順守の要です。経営者~業務管理体制~管理者~サービス提供責任者~訪問介護員等。。。事業所運営に関わる全ての人がそれぞれの役割に応じて関わることが、私たちのお給料の確保につながる他、利用者さまにとっても職員にとっても、安心安全に介護や福祉サービスを提供・受けることにつながることだと思うのです。(淘汰される側にならないよう、未来の社会保障制度の礎を担っているのは私たち自身なのだという自覚が必要だと思うのです。)

社会保障審議会障害者部会 第146回(R7.3.14)参考資料1『障害福祉分野における運営指導・監査の強化について』

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