介護vs障害福祉:デジタル情報共有基盤に「差」がある背景と国の最新DX戦略

【解説】介護vs障害福祉:デジタル化の情報共有基盤に「差」がある背景と最新の取り組み

福祉DXの現状分析

介護vs障害福祉:デジタル情報共有基盤に「差」がある背景と国の最新DX戦略

なぜ差が生まれたのか?

介護保険制度では「介護情報基盤」や「ケアプランデータ連携システム」の整備が進む一方、障害福祉サービス分野では全国一律の多職種間情報共有プラットフォームの整備が遅れていました。同じ福祉分野でありながら、この差はどこから生じたのでしょうか。

【一目瞭然】デジタル化の推進状況と背景の比較

介護保険制度

  • 先行: 2000年創設の国民皆保険的な制度として、IT投資と制度設計が先行。
  • 情報基盤: 「介護情報基盤」「ケアプランデータ連携システム」など、全国的なネットワークが整備済み。
  • サービスの標準化: サービス提供プロセスが比較的標準化しやすく、一律のシステム導入が容易。

障害福祉サービス

  • 複雑性: サービスの種類や対象とする障害が多岐にわたり、個別性が極めて高い。
  • 関係機関: 医療、教育、就労など、広範かつ多様な機関との連携が必要。
  • IT基盤の目的: ガバメントクラウドは主に自治体の給付管理の標準化が目的で、現場連携ネットワークは別途課題。

【補足】 障害福祉のガバメントクラウド移行は「自治体業務の標準化」であり、介護保険の「多職種連携ネットワーク」とは目的が異なります。現場の情報共有を進めるには、この標準化を土台とした新たな仕組みが必要です。

最新DX戦略:現場のICT導入モデル事業

国は、サービスの個別性に対応しつつ、現場の生産性向上と質の高い支援を実現するため、具体的なICT導入支援事業を推進しています。

デジタル化は「質の高い支援」のための手段

障害福祉分野のデジタル化の遅れは、そのサービスの複雑性と個別性に起因しています。しかし、国は現在、自治体事務の標準化という「土台」を築きつつ、モデル事業を通じて現場の「実践」を後押ししています。

デジタル化の最終的なゴールは、業務効率化だけでなく、個別ニーズに合わせた質の高い支援を、多職種連携によってタイムリーに提供できる体制を構築することにあります。今後の障害福祉DXの進展に期待が高まります。

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