2026年2月8日:衆議院議員選挙–介護福祉の現場から①

2026年2月8日の衆議院議員総選挙を目前に控え、日本は大きな岐路に立たされています。高市政権による初の本格的な「審判」となる今回の選挙。各党の公約には「消費税減税」や「賃上げによる人材不足解消」といった、耳に心地よい言葉が並んでいます。

しかし、介護福祉の現場で日々「支え合い」の実践に向き合う方々、そして日本の将来を冷静に見据える有権者にとって、それらの言葉は期待よりも「危うさ」として響いているのではないでしょうか。

今回は、私のブログの読者の皆様に向けて、今回の選挙で問われている論点を、特定の意見に偏らず俯瞰的に整理してみたいと思います。


1. 「消費税減税」という果実と、その裏にある「社会保障の崖」

今回の選挙戦の最大の争点の一つは「消費税」です。物価高騰が続く中、多くの政党が「2年間の食料品ゼロ」や「一律5%への減税」を掲げています。家計への即効性という点では、これほど魅力的なメニューはありません。

しかし、ここで立ち止まって考えるべきは「財源の裏付け」です。

日本の社会保障給付費は年間約130兆円を超え、その重要な柱が消費税です。消費税は景気に左右されにくい安定財源であり、今の介護保険や障害福祉サービスを支える「財布」となっています。

  • リスクの視点: 代替財源を示さない減税は、将来的な「社会保障サービスの質の低下」や「利用者負担の増大」に直結しかねません。
  • 専門家の警鐘: 日本商工会議所などは、無謀な減税がもたらす「信用不安」と、それに伴う円安・インフレの加速を危惧しています。

「今、財布に入る1万円」と「将来、介護が必要になった時の安心」、私たちはそのトレードオフを突きつけられています。

2. 人材不足の真実:賃上げだけで「人口動態」は超えられるか

一部の勢力は「日本人の給与を上げれば、外国人に頼らずとも人材不足は解消する」と主張しています。確かに、適切な賃金設定は不可欠です。しかし、統計が示す事実はより深刻です。

日本の生産年齢人口(15〜64歳)は、2040年には2020年比で約1,200万人減少すると予測されています。これは単なる「条件」の問題ではなく、物理的な「人の数」の問題です。

  • 現場の実感: 介護現場では、すでに「特定技能」などの外国人人材が、単なる労働力としてではなく、共に地域を支える「かけがえのないパートナー」として活躍しています。
  • 経済の視点: 若年層が多い外国人人材は、消費の担い手としても日本経済の活力を支えています。

「内か外か」という二項対立ではなく、多様な人々が共生できる仕組みをどう作るか。それが、現実的な解を求める有権者の視点ではないでしょうか。

3. 「日本発の危機」というシナリオ:財政破綻のリアリティ

日本がもし財政破綻(デフォルト)の危機に瀕した場合、何が起きるでしょうか。

かつてのギリシャやアルゼンチンの例を引くまでもなく、国際通貨基金(IMF)の介入を招けば、待っているのは「聖域なき歳出削減」と「急激な増税」です。

  • 福祉への影響: 先人たちが築き上げてきた介護保険制度や障害者福祉の予算は、真っ先に削減の対象となる可能性があります。
  • 世界への波及: 世界第3位前後の経済規模を持つ日本が揺らげば、世界的な恐慌を引き起こすリスクもゼロではありません。

「財政再建」は地味で票になりにくい言葉ですが、それは「次世代への責任」そのものです。ポピュリズム(大衆迎合主義)に流され、国家の信用を切り売りする選択には、極めて慎重な判断が求められます。


結びに:私たちが投じる一票の「重み」

世界的に右傾化や排外主義が強まる今、社会から「自由」や「多様な選択肢」が失われていくことへの懸念は、決して杞憂ではありません。しかし、福祉の本質とは、出自や背景に関わらず「共に生きる」リベラルな精神に基づいた相互扶助にあるはずです。

選挙公約の派手な数字に惑わされることなく、

「その政策の財源はどこにあるのか?」

「10年後、20年後の現場に誰が立っているのか?」

という問いを、候補者に、そして自分自身に投げかけてみてください。

私たちの選択が、崩壊への一歩になるのか、持続可能な未来への一歩になるのか。2月8日、その答えが試されます。


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