
『ITパスポート』という資格を聞いたことがあるでしょうか?
今回は、ITパスポートという国家資格と、介護職が取得する意味について考えたいと思います。
ITパスポートとは、理系文系、業種や役職問わず、ITを利活用する全ての人が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識を有していることを証明する国家資格です。
介護ソフトの導入やZoomなどのオンラインツールが普通に使われようになりました。介護の現場においてもICT、デジタルと無縁ではいられません。
介護職に携わっている皆さんは、介護福祉士の資格を持っている方も多いと思います。特に訪問介護などの居宅サービスは、初任者研修や実務者研修修了などの基礎資格が必須で、無資格者はサービスに入ることができません(市町村が運営する「総合事業」は、別途各市町村が要件を定めています。)
どの仕事でも変わらないことだと思いますが、資格を取ったらそれで終わり、なのではなく、日々新しい技術を学んだり、制度改正に対応してゆかなければなりません。資格とは取って終わりなのではなく、常に学んでゆける基礎を獲得した証明、ということなのではないのでしょうか。
ところで我が国も深刻な人材不足に対応するため、国を挙げて事業所の大規模化・協働化や外国人介護士の活用、デジタル化を強力に進めています。
2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、介護業界のあり方を一気に変えてしまいました。対面式の集団指導はなくなり、動画配信とオンラインレポートの送信が当たり前となりました。Zoomを通じた各種研修も、コロナ禍をきっかけとして一気に一般化しました。正直ここまで一般的になるとは思ってもいませんでした。
コロナ禍をきっかけに介護記録や訪問記録を今までの紙での記録から介護ソフトに切り替えた事業所も多いと思います。スマホで記録を入力するようになったら事業所を辞めると言っていた高齢のヘルパーさんも、今では記録や研修、会議も当然のようにスマホを介しておこなうようになりました。コロナだから仕方ない〜コロナ禍は確かに大変なパンデミックでしたが、デジタル化を推し進める強力なきっかけになったことは事実だと思います。
また、ヘルパー研修や各種の法令で定められた周知など、事業所のホームぺージを活用することも多くなったと思います。
さらに、サービス提供責任者がおこなう事務作業の半分は定型業務です。定型業務は自動化が可能です。例えば、介護ソフトの操作も定型な作業も少なくない場合も多いです。変数を組み込むなどの工夫は必要ですが、Windows11で標準搭載されたPower Automate Desktopという自動化ツールRPA(ロボティック・プロセスオートメーション)を使えば、人間がパソコンに一切手を触れなくても指定の場所やボタンまで自動でカーソルが移動して予め設定しておいたテキストを入力して確定、次のページに進む作業などが全て自動でおこなえます。
事業所特有の設定のある複雑な登録ヘルパーの給与計算など、介護ソフトではできないことでも介護ソフトからパワークエリで実績データをエクセルに取り込んで自動で計算させることも可能です。最後に人間のチェックは必要ですが、何時間もかかっていた給与計算も、ヒューマンエラーもなくわずか数秒おこなうことも可能です。
一方、デジタル化を進めれば進めるほど、部分正解ではなく全体としての最適解も求められるようになります。加えて、情報リテラシーやITリテラシーも事業所全体で必要になります。
国も、要介護者の増加と深刻な人材不足、働く世代への負担軽減の切り札のひとつとしてデジタル化を推進しています。そんな背景から、介護業界においても各法人や各事業所にひとり以上のITパスポート保持者が求められる時代になるのかもしれません。
私自身もただいま試験勉強中のITパスポート。『介護福祉士 ✕ ITパスポート』のダブル資格を、積極的にPRしてゆきたいと思います。
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