生産性向上のための業務改善の取り組み」【処遇改善加算:職場環境等要件】

処遇改善加算の職場環境等要件ですが、今年度は経過措置で旧要件が適応されてきました。とは言っても、特定加算を取っていない事業所で新加算を取得したところは経過措置とは言え、新たな算定要件だったと思います。そして、いよいよ来年度から新しい職場環境等要件がはじまります。

昨年12月23日に開催された『第243回社会保障審議会介護給付費分科会』で、「2025年度中に十分な対応をとるという誓約をすれば満たしたものとする」とし、緩和の方向性が示されましたが、令和7年度中に実施することと、令和7年度中に実施する誓約をするのは緩和ではなく同じではないか、と思うのですが、何にせよ要件を読み解くとく必要がありそうですね。

さて、来年度からの処遇改善加算の職場環境等要件ですが、やはり目玉は『生産性向上のための業務改善の取組』ですね。取り組むべき内容はコチラですが、『生産性向上ガイドライン』に基づくと、以下の項目がその具体的内容になります。

区分:生産性向上のための業務改善の取組

⑰ 厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築 (委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行なっている
⑱ 現場の課題の見える化 (課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)
を実施している

生産性向上の取り組みは、介護事業所に限らずどの業界でも求められていることですので、負担というより積極的に取り組まなければならない内容だと思います。ちなみに、昨年度閣議決定された介護職員1人あたり5.4万円規模の一時金を支給する補助金「介護人材確保・職場環境改善等事業」の要件も、処遇改善加算を取得していれば対象になるようです。

厚生労働省の示している『生産性向上ガイドライン』で示されている具体的な取り組み内容を書き出してみると、以下のようになります。

⑰ 厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築 (委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行なっている

・生産性向上委員会設置要綱の作成
・要綱に基づく生産性向上委員会orプロジェクトチームの立ち上げ
・生産性向上委員会の開催(経営層からの取り組み開始の宣言、意義の説明、イメージの伝達、今後の取り組み内容やスケジュール等)
・生産性向上に関するeラーニング、外部研修など
・これらの取り組みを実施したうえで生産性向上の取り組み(5S活動,業務手順書の作成等,ICT化など)計画的に実施

⑱ 現場の課題の見える化 (課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している

・⑰の取り組みをおこなった上で、以下を実施
・生産性向上委員会の開催(課題の把握や業務時間の見える化などの改善計画の作成、担当決め、方法の検討、スケジュールの検討など)
・課題の把握の実施
・業務時間の見える化の実施(タイムスタディ)
・把握された課題と見える化した業務時間の取りまとめ
・生産性向上委員会の開催(抽出された課題と業務時間の見える化の共有)

その他『生産性向上ガイドライン』で示されている事項

・生産性向上委員会の開催(実行計画の作成と担当決め、実施スケジュールの検討)
・実施計画に基づく改善活動の実施
・生産性向上委員会の開催(改善活動の振り返り、実行計画の見直し)

こうしてみると⑰だったらできそうな感じですね。大事なのは、スタッフ・経営者含めて、その意義を理解し共有することにあると思います。

私たちのお給料は、利用者負担を除けば税金や保険料からなる公費です。ですので、大切なお金を頂く側として、経営努力は必要だと思うのです。
どの業界でも同じことだと思いますが、他の業界~民間企業が必死で取り組んでいることを、私たち介護事業所でも当たり前のことを当たり前に取り組む必要があるのだと思います。

さて、令和7年度の取り組みとして⑱を選択する事業所に課せられた最大の課題は、業務時間の見える化〜タイムスタディーでしょう。制度改正に合わせて、タイムスタディのツールがいくつか発表されています。
今は紙の介護記録から、介護ソフトによるスマホやタブレットからの記録の入力をする事業所が増えているかと思いますが、手っ取り早い方法としては、介護ソフトにより違いはありますが、間接業務を自由設定できる自費メニューなどを利用して、タイムスタディーのメニュー自体を作ってしまうことでしょう。訪問系であれば、「担当者会議」や「契約」、「事業所内会議」などでしょうか。

ここで重要なのは、あくまでも「生産性向上」のためにおこなうということ。直接支援の移動時間や担当者会議、契約などは必要不可欠な業務ですね。しかしながら、毎月の請求書の発行や郵送といった印刷、封入作業、切手貼、投函作業や、登録ヘルパーの給与計算などは、ペーパーレスになったら大幅にかかっていた時間が削減できるかもしれません。
最近は、電気ガス水道代請求書等も紙からスマホに変わってきていますね。それと同じです。人がかかりきりで半日〜1日かかっていた作業もデジタル化すればワンクリックで済むかもしれません。タイムスタディーも、デジタル化すれば削減できる作業と、デジタル化できない作業を明確に分けて把握する必要があります。そうすれば、何%効率化できるのかも数字で把握することができます。

本当に必要な仕事、効率化できない仕事、もっと時間をかけるべき仕事など、それらを知ることが生産性向上の第一歩だと思います。

ちなみに私が、移動時間を含む直接支援とそれ以外の間接業務を分けて、ざっくりタイムスタディーをしてみたところ、サービス提供責任者or管理者クラスだと、直接支援:間接業務は3:7くらい、通常のサービス提供責任者では4:6くらい、交代や臨時対応などサービス提供責任者の直接支援が多い時で5:5位、私自身のマックス値で8:2位でした。自分の瞬間最大風速は別として、訪問介護のサービス提供責任者の直接支援と間接業務の毎月無理しないで可能な限界値は5:5とかが現実的かと思いました。

大変だとは思わずに、考えるたり工夫することがワクワクの連続だと思って取り組めば事務作業も、案外楽しい時間になると思います。最近ではAIや無料で使えるアプリなど、楽しいツールが目白押しですから。。。

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