『孤独』と言う言葉を肯定的に捉えている人の「孤独」と、本当に『孤独』な人が感じている「孤独」は全く違う気がする

最近、「孤独」という言葉を、少しポジティブなニュアンスで語る声を耳にする機会が増えたように感じます。「一人の時間を楽しむ」「孤独を愛する」「自分と向き合う大切な時間」。。。

それはそれで、とても素敵なことです。誰にも邪魔されずに自分の世界に浸る時間は、確かに豊かで、私たちに新しい発見や心の安らぎを与えてくれます。

でも、その言葉を聞くたびに、私の心に小さなさざ波が立つのです。

その「孤独」は、いつでも誰かと繋がれる選択肢を持ちながら、自ら選んでドアを閉めている時の、いわば「贅沢な孤独」なのではないか、と。

そして、その言葉の光が強ければ強いほど、光の届かない場所で、望まない孤独に耐えている人の影を、より一層濃くしてしまうのではないか、と。

そんな二つの「孤独」について、少しだけ考えてみたいと思います。これは誰かを批判したいわけではなく、ただ、今まさに息苦しさを感じているかもしれないあなたの心に、そっと寄り添いたいという一心で書いています。

あなたが選んだ「孤独」と、あなたを蝕む「孤独」

肯定的に語られる「孤独」は、多くの場合、「ソリチュード（Solitude）」と言い換えることができるかもしれません。それは、自ら進んで一人になる状態。自分の内面と深く向き合ったり、趣味に没頭したりするための、積極的で豊かな時間です。そこには、明日になればまた誰かと笑い合えるという安心感が、根底にあるのではないでしょうか。帰れる場所や、心の拠り所があるからこそ、人は安心して「一人」になることができるのです。

一方で、本当に辛い「孤独」は、「アイソレーション（Isolation）」に近いのかもしれません。それは、社会や他者から切り離され、孤立してしまっている状態。誰かに助けを求めたくても、その声が届かない。あるいは、声を出す気力さえ奪われてしまっている。周りにはたくさんの人がいるのに、自分だけが透明な壁に閉じ込められているような感覚。

この二つは、辞書の上では同じ「孤独」という言葉で括られてしまうことがあります。でも、その内実も、そこで感じる心の温度も、全くの別物です。

「孤独は素晴らしいものだよ」

その言葉は、何の悪気もない、善意からの言葉なのだと思います。でも、もしあなたが今、望まない孤独の渦中にいるとしたら、その言葉は鋭い刃のように感じられるかもしれません。「素晴らしいはずの孤独を楽しめない自分は、なんてダメなんだろう」と、自分を責めてしまうかもしれません。

でも、どうか、それだけはしないでください。

あなたが感じているその痛みは、決してあなたの弱さのせいではありません。それは、あなたが今置かれている状況が、あまりにも過酷だというサインなのです。