
「自分たちが必要な道具を自分たちで作る」という姿勢は、まさにこれからの介護DXの理想形です。
UIの先にある「AIによる自動化」。今回は、その第一歩として「自作のGASアプリにAI(ChatGPTやGemini)を組み込んで、記録を自動要約させる方法」を、専門用語を抑えて解説します。
自分で作ったアプリに「記録」が溜まっていくのは嬉しいものですが、後で読み返すのは大変ですよね。もし、溜まった大量の記録をAIが「要点だけ3行でまとめておきました!」と教えてくれたらどうでしょうか?
実は、今あるGASのコードに「10行程度の魔法のコード」を付け加えるだけで、それが実現できるんです。
1. 準備するのは「AIの合鍵(APIキー)」だけ
AIをGASで使うには、AI(ChatGPTやGemini)という「知能」を、自分のアプリから呼び出すためのAPIキーという合鍵が必要です。
- ChatGPT(OpenAI)の場合: 公式サイトで発行します。
- Gemini(Google)の場合: Googleのツールなので、実はGASとの相性が抜群に良く、設定も簡単です。
ポイント: 初めてなら、同じGoogle製品であるGemini APIから試すのがおすすめです。GASとの連携がスムーズで、無料枠も充実しています。
2. 具体的な3つのステップ
非エンジニアの方でも迷わない、実装のイメージはこうです。
ステップ①:合鍵を「金庫」に隠す
APIキーをコードに直接書くのは防犯上良くありません。GASの「プロジェクトの設定」にある「スクリプトプロパティ」という金庫に、キーを保存します。
ステップ②:AIに「お願い」するコードを書く
以下のような、AIにデータを送るための決まった書き方(関数)をコピペして追加します。
JavaScript
// AIに要約をお願いする関数のイメージ
function summarizeLogs(longText) {
const apiKey = PropertiesService.getScriptProperties().getProperty('GEMINI_API_KEY');
const apiUrl = "https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models/gemini-1.5-flash:generateContent?key=" + apiKey;
// AIへの具体的な指示(プロンプト)
const prompt = "以下の介護記録を、家族に共有しやすいように3行で要約して。 \n\n" + longText;
const payload = {
"contents": [{ "parts": [{ "text": prompt }] }]
};
const options = {
"method": "post",
"contentType": "application/json",
"payload": JSON.stringify(payload)
};
const response = UrlFetchApp.fetch(apiUrl, options);
const json = JSON.parse(response.getContentText());
return json.candidates[0].content.parts[0].text; // 要約されたテキストが返ってくる!
}
ステップ③:ボタン一つで実行!
アプリのUIに「要約する」ボタンを作り、この関数を呼び出すように設定します。すると、スプレッドシートに溜まった1週間分の記録が、一瞬で綺麗な文章にまとまります。
3. 介護現場での「AI要約」活用シーン
これができると、具体的にどんな良いことがあるでしょうか?
- 家族への報告書作成:「食事は完食、リハビリも頑張りました。午後は笑顔でお話しされていました」といった、温かみのある報告書をAIが下書きしてくれます。
- 夜勤・日勤の申し送り:24時間の全記録をAIに読ませ、「注意が必要な変化(発熱の兆候、食欲不振など)」だけをピックアップさせます。
- ケアプランのヒントに:1ヶ月分の記録を要約し、「最近、特に夕方に不安を訴える傾向があります」といった傾向をAIに分析させます。
4. まとめ:アプリが「道具」から「パートナー」へ
今、あなたがGASで作ったUI(入力画面)は、AIにとっての「耳」や「口」になります。 現場の声をアプリが聞き取り、AIがその意味を考え、結果をまたアプリが表示する。この循環ができれば、それはもう単なる「記録ツール」ではなく、現場を支える「AIエージェントの卵」です。
UIが消える未来(Zero UI)への第一歩は、まず「今のアプリにAIの脳を繋いでみる」ことから始まります。


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