
令和8年度(2026年度)に予定されている障害福祉サービス等報酬の「期中改定(臨時応急的な見直し)」は、訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、行動援護、同行援護)を運営する皆様にとって、経営と処遇改善の両面で非常に重要な転換点となります。
厚生労働省の検討チーム資料(令和8年2月18日時点)に基づき、改定のポイントと具体的な対応方法を分かりやすく解説します。
皆様、日々の心のこもった支援、本当にお疲れ様です。
「また改定?」と不安に思われるかもしれませんが、今回の令和8年度(2026年度)期中改定は、「働くスタッフ全員の賃上げ」と「業務の効率化(生産性向上)」を強力に後押しする内容となっています。
特に訪問系サービスに関わる皆様が知っておくべきポイントをまとめました。
1. 最大の目玉:処遇改善加算の「大幅拡充」と対象拡大
令和8年6月施行予定の目玉は、全従事者を対象とした大幅な賃上げ措置です。
- 月額1.0万円(約3.3%)のベースアップ: 福祉・介護職員だけでなく、これまで対象外だった事務職などを含む「障害福祉従事者」全体へ対象が拡大されます。
- 生産性向上への上乗せ(月額0.3万円): ICT活用など「生産性向上」や「協働化」に取り組む事業所には、さらに1.0%相当の上乗せが行われます。
- 新設の加算率(例): 訪問系サービスの加算率は非常に高く設定されています。
- 居宅介護・同行援護: 加算I(新設区分)で 44.6%〜45.6%
- 重度訪問介護: 加算I(新設区分)で 37.2%〜38.2%
- 行動援護: 加算I(新設区分)で 41.1%〜42.1%
これにより、定期昇給を含めると最大で月額1.9万円(6.3%)程度の賃上げが実現する計算となります。
2. 臨時応急的な「基本報酬の見直し」
処遇改善加算が増える一方で、国費の公平な配分を目的に、基本報酬単価には一定の「適正化(事実上の抑制)」が入ります。
- 基本報酬の調整: 収支差率(利益率)が高いとされる一部のサービスや、新規開設事業所に対しては、報酬単価を1%〜3%程度抑制する「応急的な見直し」が検討されています。
- 国庫負担基準の改定: 処遇改善加算の引き上げに連動し、市町村が国から受ける費用の基準額も令和8年6月から引き上げられます(例:居宅介護区分6は25,500単位から26,040単位へ)。
3. 「生産性向上」で加算を上乗せ!対応例のヒント
高い加算率(加算I・II)を得るためには、「職場環境等要件」における生産性向上の取り組みが必須となります。具体的に何をすればよいのか、対応例をまとめました。
| 取り組み項目 | 具体的な対応例(ネット等の知見を含む) |
| ICT機器の導入 | 訪問記録のタブレット化、スマホでのチャット連絡、音声入力による報告書作成 |
| 5S活動の実践 | 事務所内の整理整頓、備品配置の最適化による「探しもの時間」の削減 |
| 業務の役割分担 | 記録・報告様式の工夫、事務作業の自動化、清掃等の専門外業務の外注化 |
| 研修・キャリア面談 | 資格取得支援(喀痰吸引、強度行動障害など)や定期的なキャリア面談の実施 |
※令和8年度中は「誓約書」の提出でも算定可能となる激変緩和措置が設けられる予定ですが、実績報告時に未対応だと返還を求められるため、早めの準備が必要です。
読者の皆様へ:これからの進め方
今回の改定は、人手不足に悩む訪問系事業所にとって「人材確保」のチャンスでもあります。
- まずは「どの加算区分」を狙うか決める: 最大の加算を得るには「生産性向上(ICT活用など)」の取り組みを5つ以上選ぶ必要があります。
- 補助金の活用を検討する: ICT導入には、自治体が実施する「ICT導入補助金」などが活用できる場合があります。
- スタッフへの説明: 賃上げの内容を共有し、協力して業務効率化に取り組む姿勢を伝えることで、離職防止につなげましょう。
制度は複雑ですが、一つひとつのハードルを越えていくことで、より良い支援と安定した経営に繋がります。私たちと一緒に、前向きに準備を進めていきましょう!
令和8年度 訪問系サービス報酬改定
〜 賃上げと生産性向上を両立するためのガイド&シミュレーター 〜
🧮 処遇改善加算(新区分)予測
※5つ以上チェックで加算率が上乗せされます
※令和8年6月改定案に基づく概算です。
賃上げ分(約3.3%) + 生産性向上(約1.0%)を含む新区分です。
寄り添うアドバイス:
「5つも取り組めない…」と不安にならなくても大丈夫です。令和8年度中は「誓約書」の提出だけでも算定可能となる激変緩和措置が予定されています。まずはICT1つから始めてみませんか?
賃上げの加速
全職種を対象に平均1.0万円(3.3%)のベアを目標とした加算拡充。事務職も対象になるのが今回の大きな変化です。
生産性の評価
ICT活用などで効率化を図る事業所に、さらに月額0.3万円相当を加算。ITを「敵」ではなく「味方」にする改定です。
基本報酬の調整
一部の利益率が高いサービスは1〜3%の抑制が入ります。加算をしっかり取ることで経営を安定させる必要があります。
対応スケジュールの目安
準備期間
生産性向上の取り組みをどれか1つでも開始。ICT導入補助金のチェックを。
改定施行
新区分での処遇改善加算の請求開始。スタッフへの賃上げ通知も忘れずに。
本格運用
激変緩和措置が終了するまでに、取り組みを5つまで拡大することを目指します。


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