その会議、動画とチャットで完結できる? 特定事業所加算の「ICT活用」最前線


管理者カラス
管理者カラス

「同じことを何度も話すのはムダ」「話す人によって内容が変わるムラ」……。

現場を預かる管理者として、その視点は非常に鋭く、かつ合理的です。特に訪問系サービスはスタッフがバラバラに動くため、全員を一箇所に集めるコストと労力は膨大ですよね。

ご提案の特定事業所加算の算定要件を満たすような「動画配信+チャット形式」が、特定事業所加算の要件(会議の開催)をクリアできるのか。結論から言うと、「やり方次第で『可』だが、いくつかの高いハードルがある」という極めてスリリングな状況です。

実務レベルで「行政に突っ込まれないための落とし所」を解説します。


特定事業所加算の要件にある「会議の開催」。

以前は「全員集合」が当たり前でしたが、現在は厚生労働省もICTの活用を認めています。しかし、単に「動画を置いておいたから見ておいて」では、加算の返還を求められるリスクがあります。

何がOKで、何がNGなのか。その境界線を整理しましょう。


厚生労働省のQ&Aや解釈通知において、会議の開催には「伝達」だけでなく「意見交換」や「個別の指示」が含まれることが重視されています。

  • 動画配信(オンデマンド): 一方向の「伝達」になりがちです。
  • チャット: 意見交換は可能ですが、リアルタイム性がない場合「議論」とみなされない可能性があります。

【ここが重要!】

行政が求めるのは「サ責がヘルパーの理解度を確認し、必要に応じて個別の指導を行ったか」というプロセスです。


もし、リアルタイムのWeb会議(Zoomなど)ではなく、オンデマンドの動画とチャットで運用する場合、以下の3点を証拠として残す必要があります。

① 視聴と「理解」の確認(ムラをなくす)

単に「再生した」という記録だけでは不十分です。

  • 動画視聴後に、内容に関する理解度テストやアンケートを実施する。
  • チャットでスタッフ一人ひとりが「自分の担当ケースにどう活かすか」をアウトプットする。

② 指示と報告の双方向性(ムダを削ぎ落とす)

動画で共通事項(ムダの排除)を話すのは素晴らしいアイデアです。しかし、会議要件には「個別の利用者に対する具体的な指示」も含まれます。

  • チャット上で、サ責が個別のヘルパーに対し、動画内容を踏まえた「具体的な指示」を出し、ヘルパーがそれに対して「了解・質問」を返している記録を残す。

③ 全員参加の担保

「忙しくて見ていません」は許されません。

  • 月内に全員が視聴し、やり取りを完了したことを一覧で管理する。

実地指導対策として、私がおすすめするのは「動画」をベースにしつつ、最後の一押しだけ「対面またはリアルタイム」を組み合わせる方法です。

ステップ内容解決する課題
1. 共通動画の配信全員共通の連絡事項、研修内容を動画で送る。「ムラ」の解消
2. チャットでの質疑個別の疑問点をチャットで吸い上げる。「時間のムダ」削減
3. 個別対面 or 電話事務所に来た際や電話時に「動画のあの件、〇〇さんのケースではこうしてね」と1〜2分補足し、記録に残す。「加算要件」の完全充足

もし実地指導で「動画配信は会議と言えるのか?」と問われたら、こう答えてください。

「スタッフの理解度のムラをなくすため、あえて動画で標準化した情報を届けています。その上で、チャットを通じて個別の意見交換を行い、サ責が一人ひとりの理解度を確認した記録をすべて残しています。これは形式的な集合会議よりも、個別のケアに直結する実効性の高い会議だと考えています。」

事実、ICT活用を推進する自治体では、こうした「実質的なやり取り」を高く評価する傾向にあります。


「ムダ」を省くのは、サ責や管理者が「本当に大切な相談や、利用者の変化に気づくための時間」を作るためですよね。その目的を忘れなければ、動画配信という選択は決して手抜きではありません。

ただし、自治体(市町村)によっては「リアルタイムのWeb会議(Zoom等)以外は認めない」という保守的な判断を下すところもまだあります。

まずは一度、自治体のマニュアルを読み込むか、匿名で「オンデマンド動画とチャットでのやり取りを会議実績として認めているか」を電話で確認してみるのが、最も確実な「安全策」です。


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