
令和7年度に入り、今年度の処遇改善計画書の届出も終わりましたね。介護保険と障害福祉の両方の指定を受けている訪問系サービス事業所の方は、処遇改善加算の職場環境等要件の内容が、介護と障害で微妙に違っていることに、??という感情を抱いたかと思います。
令和6年度までは、介護保険にはない障害独自の要件に「障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮」があり、他は、介護保険で「利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供」が、障害では「利用者本位のケア方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供」くらいしかなかったのですが、令和7年度版職場環境等要件では、介護保険と障害福祉で、意味が分からないけど文章を変えている項目がめちゃくちゃ多くなっています。気になる人は、めちゃくちゃ気になっているかと思います。
区分 | 内容(介護保険) | 内容(障害福祉) |
入職促進に向けた取組 | 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 | 〃 |
事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 | 〃 | |
他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 | 〃 | |
職業体験の受入や地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施 | 〃 | |
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 | 働きながら国家資格等の取得を目指す者に対する研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する各国家資格の生涯研修制度、サービス管理責任者研修、喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修等の業務関連専門技術研修の受講支援等 |
研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 | 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動によるキャリアサポート制度等の導入 | |
エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入 | 〃 | |
上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保 | 〃 | |
両立支援・多様な働き方の推進 | 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 | 〃 |
職員の事情等状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 | 〃 | |
有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている | 有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている | |
設定なし | 障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮 | |
腰痛を含む心身の健康管理 | 業務や福利厚生制度,メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 | 〃 |
短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 | 〃 | |
介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援,職員に対する腰痛対策の研修,管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施 | 福祉職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援,職員に対する腰痛対策の研修,管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施 | |
事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 | 〃 | |
生産性向上のための業務改善の取組 | 厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築 (委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行なっている | 設定なし |
現場の課題の見える化 (課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している | 〃 | |
5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの) 等の実践による職場環境の整備を行っている | 〃 | |
業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている | 〃 | |
介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。居宅サービスにおいてはケアプラン連携標準仕様を実装しているものに限る)及び情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末、インカム等)導入 | 業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入 | |
介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)の導入 | 介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入 | |
業務内容の明確化と役割分担を行った上で、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)については、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担い、介護職員がケアに集中できる環境を整備 | 業務内容の明確化と役割分担を行い、福祉・介護職員が支援に集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、間接支援業務に従事する者の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う | |
各種委員会の共同設置,各種指針、計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 | 〃 | |
やりがい・働きがいの醸成 | ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 | 〃 |
地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 | 地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進のため、モチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 | |
利用者本位のケア方針など介護保険(障害福祉)や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 | 〃 | |
ケアの好事例や利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 | 〃 |
介護保険と障害福祉で表現が微妙に異なるのが気になります。
区分「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」の具体的研修については、現状に合わせて文章を変えたのでしょう。それにしても細かすぎます💦
介護保険では「研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動」としているところ、障害福祉では「…によるキャリアサポート制度等の導入」が追記されています。これは何なんでしょう? 厚生労働省が介護保険にはなくて障害福祉のみにある制度としての「キャリアサポート制度」なるものは見当たりません。
しいてあげるとすれば、「キャリアアップ助成金」でしょうか? この助成金では、介護保険にはない「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」が設定されています。まあ、理解できますね。
「両立支援・多様な働き方の推進」において「障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮」が介護保険になくて障害福祉にはある、はまあ良いでしょう。
しかしながら、介護保険委は無くて障害福祉の身にある項目を入れたため、28項目に揃えたいがために、介護保険にはある「厚生労働省が示している生産性向上ガイドラインに基づき、業務改善活動の体制構築 (委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行なっている」の項目が障害ではごっそりなくなっているではありませんか💦
「現場の課題の見える化 (課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している」は、委員会やプロジェクトチームを立ち上げてから実施するものなので、障害福祉では、そこまで通しでやりなさい、ってことなのでしょう。
他にも、介護保険と障害福祉で文章をあえて変えている箇所が多々見受けられます。今まで見られなかった現象です。いったいなぜ。。。と思うのは私だけなのでしょうか?
逆に読み解くのが、めっちゃ面白いです。介護保険では「ケアプランデータ連携システム」をめっちゃ推しているのが伝わってきます💦 障害福祉は、「地域社会への参加やインクルージョン」をめっちゃ推してますね💦
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を支援する制度であり、日本国内の労働市場における雇用安定化を目的としています。以下では、キャリアアップ助成金の全体像について詳しく説明した後、障害者正社員化コースと処遇改善支援についての詳細を述べます。
キャリアアップ助成金の概要
- 目的:
- 非正規雇用労働者(例えば、有期雇用労働者やパートタイム労働者)を正規雇用化することで、労働者の待遇を改善し、安定した雇用環境を提供することを目指します。
- 対象者:
- 主に中小企業が対象で、特定の雇用形態にある労働者を正規雇用労働者に転換する場合に助成されます。
- 助成内容:
- 正規雇用への転換や無期雇用への転換に対し、一定額の助成金が支給されます。
- また、処遇改善のために必要なスキルアップの機会提供や賃金引き上げに関連する支援も含まれます。
障害者正社員化コース
キャリアアップ助成金の中でも特に注目されているのが、「障害者正社員化コース」です。このコースは、障害を持つ労働者に対する雇用機会の拡大を目的としています。
- 対象者:
- 障害のある有期雇用労働者を正規雇用または無期雇用に転換する場合。
- 助成額:
- 有期雇用労働者から正規雇用への転換: 最大120万円(中小企業の場合)。
- 無期雇用労働者から正規雇用への転換: 最大60万円。
- 手続きの流れ:
- まずキャリアアップ計画を策定し、労働局に提出します。
- 転換後6ヶ月以上の賃金を支払った後に申請を行います。
処遇改善支援
キャリアアップ助成金には、労働者の処遇改善を図る支援策も含まれています。
- 賃金引き上げ:
- 正社員化に伴い、基本給の引き上げを義務付けています。
- この引き上げに関する費用の一部を助成。
- 教育訓練の実施:
- 労働者のスキル向上を目的とした教育訓練の提供。
- 労働者が新しい職務に適応できるよう支援。
このようにキャリアアップ助成金は、労働者と企業双方にとって利益となる制度です。詳細な情報は厚生労働省の公式サイトで確認できます。さらなる質問があればぜひお知らせください!
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