【参院選目前】消費税減税は本当に可能? 国の財政と社会保障の視点から解説

7月20日の参議院選挙が近づくにつれて、各政党から様々な経済政策が提案されています。その中でも特に注目を集めるのが「消費税減税」です。私たちの生活に直結するこのテーマについて、「本当に減税は可能なのか?」「もし減税されたら何が変わるのか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、介護福祉系のブログとして、消費税減税の可能性と、それが国の財政や社会保障に与える影響について、できるだけ分かりやすく解説していきます。

まず、消費税が現在どのような役割を担っているのかを再確認しましょう。前回の記事でも触れた通り、法律上、消費税収(国分)は「年金、医療、介護、少子化対策」の社会保障4経費に全て充てられると定められています。これは「社会保障と税の一体改革」(2012年)で決められたことで、特定の世代に負担が偏るのではなく、全ての世代で広く公平に社会保障を支え合うという考え方に基づいています。

消費税は景気に左右されにくい安定した税収源であり、社会保障の重要な財源として機能しています。

では、もし消費税が減税された場合、どのようなメリットとデメリットが考えられるでしょうか。

メリット:景気刺激と家計負担の軽減

  • 消費の活性化: 消費税が下がれば、商品やサービスの価格が実質的に安くなり、消費者の購買意欲が高まる可能性があります。これにより、経済全体の活性化が期待できます。
  • 家計負担の軽減: 特に低所得者層にとっては、消費税の負担が直接的に軽くなるため、日々の生活が楽になるという実感が得られやすいでしょう。

デメリット:社会保障財源の減少と財政悪化

  • 社会保障財源の危機: 消費税収は社会保障の安定財源として位置づけられています。減税されれば、その分、社会保障の財源が大きく減少します。これは、年金、医療、介護、子育て支援といった国民生活に不可欠なサービスへの影響が懸念されます。
  • 国の借金(国債)の増加: 減税によって失われる税収を補うためには、他の税目を増やすか、国の借金である国債をさらに発行するしかありません。国債が増えれば、将来世代への負担がさらに大きくなり、財政の健全性が損なわれるリスクが高まります。
  • サービスの質の低下: 財源が不足すれば、社会保障サービスの質が低下したり、提供される範囲が縮小されたりする可能性も否定できません。

消費税を減税した場合、その減収分をどう補うのかが最も大きな論点となります。

  1. 他の税目の増税: 所得税や法人税、あるいは新たな税目を創設するといった方法が考えられます。しかし、これも国民や企業に新たな負担を強いることになり、経済活動への影響も考慮する必要があります。
  2. 歳出の削減: 社会保障費を含む国の支出を大幅に削減することも選択肢の一つですが、国民生活に直結する部分であるため、大きな反発が予想されます。
  3. 国債のさらなる発行: 最も手軽な方法ではありますが、国の借金が雪だるま式に増え、将来の財政破綻リスクを高めます。特に、最近の国債金利上昇の動きを考えると、利払い費の増加が財政をさらに圧迫する懸念があります。

消費税減税は、短期的には景気刺激や家計負担の軽減といったメリットをもたらす可能性があります。しかし、その裏には社会保障財源の減少、国の財政悪化、そして将来世代への負担増大といった深刻なデメリットが潜んでいます。

したがって、「消費税減税は本当に可能か?」という問いは、単に技術的な問題ではなく、「減税によって失われる財源をどう補い、社会保障制度をどう維持していくのか」という、より本質的な問いへとつながります。

参議院選挙では、各党が消費税減税についてどのような立場を取り、そして減税した場合の具体的な財源確保策や社会保障の維持策をどのように提示しているのか、多角的な視点からその主張を吟味することが重要です。私たち一人ひとりが、国の財政と社会保障の未来を真剣に考える機会となるでしょう。

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