消費税の使い道:「社会保障のため」は本当?

【図解】消費税は本当に社会保障に使われている?国の財政の仕組み

【参院選目前】
消費税と国の財政、ホントのところ

私たちの税金は、一体何に使われているのでしょうか?

消費税の使い道:「社会保障のため」は本当?

結論から言うと、法律上、消費税収は社会保障4経費に全て充てられます。これは「社会保障と税の一体改革」で定められたルールです。

社会保障4経費とは?

  • 👴
    年金
    高齢期の生活を支えるための給付。
  • 🏥
    医療
    病気やケガの際の医療費負担を軽減。
  • 🤝
    介護
    介護が必要な方へのサービス提供。
  • 👶
    少子化対策
    子育て支援や関連施策。

このグラフは、消費税収(国分)が法律に基づき、年金、医療、介護、少子化対策の4つの社会保障経費に全額充てられることを示しています。特定の分野に偏るのではなく、社会保障全体を支える財源として設計されています。

ではなぜ「法人税減税の穴埋め」と言われるの?

それは国の財政が「一つの大きな財布」で管理されているからです。直接ではなく「結果的に」そう見える、という解釈が存在します。

消費税
所得税
法人税など

国の大きな財布 (国庫)

全ての税収が一旦ここに集まります

社会保障 (歳出の約1/3)
公共事業
教育・科学
防衛
その他

この図は、様々な税金が一旦「国庫」という一つの財布に集められ、そこから社会保障を含む各種経費に分配される流れを示しています。このため、ある税収(消費税)が増え、別の税収(法人税)が減ると、全体として見れば消費税が増えた分で法人税の減少分を補ったかのように見え、これが「穴埋め」という解釈の根拠となっています。

会計の「見える化」が重要な理由

社会保障のような重要なお金は、国民がしっかり監視できるよう、透明性の高い「一般会計」で管理されています。

一般会計 (オープン)

👁️

国の基本的な活動に使われるメインの会計。国会の承認が必要で、国民の監視が届きやすいのが特徴です。社会保障費はこの会計で扱われます。

特別会計 (クローズド)

🔒

特定の事業(例:年金保険料の管理)のために設置。目的が限定的で、一般会計と切り離されているため、お金の流れが見えにくい側面があります。

将来のリスク:国債金利の上昇

現在、社会保障費の一部は国の借金である「国債」で賄われています。もし、この国債の金利が上昇すると、利息の支払い(利払い費)が増え、社会保障に回せるお金が圧迫される懸念があります。

このグラフは、金利が上昇した場合のシミュレーションです。金利が低い状態(0.5%)では、社会保障費の自然な増加(青線)が国の利払い費(赤線)を上回っています。しかし、あるシンクタンクの試算によれば、金利が2%を超えると状況が逆転し、利払い費の増加額が社会保障費の増加額を上回り、予算を著しく圧迫する可能性が示唆されています。これは将来の社会保障制度の持続可能性における大きなリスク要因です。

選挙で考えるべき3つのポイント

1.
消費税の使い道
法律上は社会保障に限定。しかし財政全体でどう見るかで解釈が分かれる点をどう考えるか。
2.
会計の透明性
社会保障費を「一般会計」で扱い、国民の監視を確保する現在の仕組みをどう評価するか。
3.
将来のリスク
国債金利の上昇が社会保障を圧迫する可能性に、各党はどのような対策を提示しているか。

これらの財政の仕組みも頭の片隅に置きながら、各候補者の主張に耳を傾けてみましょう。
私たちの一票が、未来の社会保障の形を決めます。

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