
居宅介護事業所における「サービス提供責任者(以下、サ責)」が、共同生活援助(グループホーム)の「生活支援員」を兼務する場合の人員配置基準について、厚生労働省の省令および通知に基づき解説します。
結論から申し上げますと、「利用者40人ごとに1人以上」という基準を維持しつつ兼務を行うには、「常勤換算」の考え方と**「業務に支障がない範囲」の解釈**が極めて重要になります。
1. 根拠となる法令・通知
正確な基準を理解するための一次情報源は以下の2点です。
- 省令: 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第5条
- 通知(解釈通知): 指定障害福祉サービス基準等の一部改正に伴う実施上の留意事項について(障発第0331019号)
2. サービス提供責任者の配置基準(40:1)の考え方
障害福祉サービスにおける居宅介護のサ責の配置人数は、事業所の前年度の平均利用者数(または新規事業所の場合は推定数)に基づき、以下のように定められています。
配置人数の計算式
原則として、**「利用者40人、またはその端数を増すごとに1人以上」**の配置が必要です。
| 利用者数 | 必要なサ責の人数 |
| 1人 ~ 40人 | 1人以上 |
| 41人 ~ 80人 | 2人以上 |
| 81人 ~ 120人 | 3人以上 |
【注意】
ここでいう「1人」とは、原則として**「常勤」かつ「専らその職務に従事するもの(専従)」**を指します。
3. 共同生活援助(生活支援員)との兼務のルール
ご質問の「生活支援員との兼務」を行う場合、以下の2つの条件をクリアする必要があります。
① 同一敷地内・近接した事業所であること
解釈通知において、サ責は「専ら居宅介護の職務に従事する者」とされていますが、以下の場合には兼務が認められます。
- 同一敷地内にある、または密接な連携が可能な範囲にある事業所(この場合は共同生活援助)の職務に従事する場合。
- ただし、「居宅介護の管理業務」や「サ責としての業務」に支障がないことが絶対条件です。
② 常勤換算方法による時間の按分
サ責が別の職務(生活支援員)を兼務する場合、その職員が「居宅介護のサ責」として働いている時間分しか、サ責の配置人数としてカウントできません。
- 例: 週40時間勤務の職員が、20時間を「居宅介護(サ責)」、20時間を「グループホーム(生活支援員)」として働く場合、居宅介護における配置上の人数は $0.5$人 となります。
- この場合、居宅介護の利用者が20人であれば基準を満たす可能性がありますが、利用者が40人いる場合は「1.0人」の配置が必要なため、別途 $0.5$人分のサ責を確保しなければなりません。
4. 運用のポイントと注意点
管理者との兼務
もし、そのサ責が「居宅介護の管理者」も兼ねている場合、さらに複雑になります。管理者は「管理業務に支障がない限り、同一事業所内の他の職務(サ責など)に従事できる」とされています。
業務の「支障」とは
実務上、行政の監査でチェックされるのは以下の点です。
- 勤務表(シフト表): 居宅介護のサ責としての時間と、生活支援員としての時間が明確に区分されているか。
- 個別支援計画等の作成状況: サ責の本来業務(計画作成、ヘルパーへの指導、モニタリング等)が滞りなく行われているか。
まとめ
共同生活援助の生活支援員を兼務すること自体は可能ですが、居宅介護の利用者数に応じた「必要人数(常勤換算)」を、兼務後の「居宅介護に従事する時間」だけで満たしているかが正確な判断基準となります。
計算チェック例:
利用者が35人の場合、サ責は「1.0人」必要です。もし1人で兼務するなら、その人は「居宅介護の専従」でなければならず、生活支援員としての時間は作れません。もし生活支援員をやりたいのであれば、もう一人サ責を雇い、二人合わせて「常勤換算1.0以上」にする必要があります。
この解説について、具体的な利用者数や職員の勤務パターンに当てはめたシミュレーションが必要であれば、続けて作成しましょうか?


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