どうしてる?〜 訪問介護事業所の定例会議【特定事業所加算】

今回は、訪問介護事業所における『定例会議』について考察してみたいと思います。

特定事業所加算において、おおむね1か月に1回以上、サービス提供責任者がすべての訪問介護員に対して、①利用者に関する情報の伝達、②サービス提供に当たっての留意事項の伝達、③訪問介護員等の技術指導等を目的とした会議、のいづれかのテーマで会議をおこなう必要があります。

イメージとしては施設系で、朝の申し送りなどの際にフロアスタッフが集まる場面で、入居者様の状態を申し送りしたり、医師からの診断で服薬が変更になった際の注意点を共有したり、状態変化で新たな福祉機器を導入するに当たっての機器の操作方法などの技術指導がイメージしやすいと思います。

しかしながら訪問系では、個別の利用者様の状態の申し送りや福祉機器の技術指導はあくまでもサービス提供責任者と担当ヘルパーの間でおこなわれるもので、もちろんその際の記録は取る必要がありますが、特定事業所加算の算定要件を満たすためには、全訪問介護員を対象にした会議を別途おこなう必要があるでしょう。

訪問介護の現場で一番ネックになるのが、この『全員参加』の要件だと思います。
訪問介護の現場は曜日や時間問わず支援が入っていることも多いため、この日のこの時間なら全員集まることができる、という日程が取りづらい、または取れないのが現実です。なので、この全員参加の要件を満たすことは決して容易ではありません。

研修と違って、配信動画を視聴してレポート提出では特定事業所加算の算定要件を満たすことができません。ここで、いくつかのパターンを考えてみましょう。研修ではなく、あくまでも会議である必要があります。明らかに『研修』的な場合は『会議』とみなされない場合もあります。

訪問介護事業所で大人数が集まれるスペースがあるところは少ないと思いますので、最初の案として、公民館や地域センターで対面式の会議を実施し、欠席者に対しては別途2回目の対面式会議をおこない、そこにも参加できない人は事務所に来た際に・・・が開催方法として考えられるでしょう。
しかしこの方法だと、同じことを何度も説明しなければならず、いつ終わるのかも定かではありません。対応するサービス提供責任者によって伝達内容や技術指導の内容にムラがでてしまうかもしれません。しかも毎月1回以上、必ず全員に対しておこなう必要があります。

一方、厚生労働省でも『生産性向上ガイドライン』で、ムリ・ムダ・ムラを省こうと謳っています。
では集まるのは大変だから、Zoomを使ってオンラインでの開催にしたとします。当然、オンラインにしても1回の開催で全員参加は難しいと思います。オンライン会議を2度3度やるのなら、会議を録画して見てもらえば良いのかというと、毎回、開催結果を議事録の形で残さないといけません。しかも、会議の録画動画を観させられる方も大変です。

それでは、Zoom会議の動画を編集して分かりやすく簡潔にまとめたものを観てもらい、ムダとサ責ごとのムラをなくしてはどうだろうか?
いやいや、そんなことをするならいっそのこと、最初から伝達内容や技術指導の内容を説明する動画を予め作って配信したらどうか?
いやいや、それだと会議にはならん、もはや会議とは言わないだろう。
じゃあ、YouTubeの限定配信でコメントを書いてもらう感じのやり取りにしたら良いのでは。議事録も最初から文字だし・・

開催方法を話し合っていると、もはや会議とは何か、という哲学的なところにまで発展しそうです。そもそも厚生労働省が特定事業所加算でいっている会議の内容、「利用者に関する情報」「サービス提供に当たっての留意事項」「技術指導」は、それ自体会議と言えるのだろうか?

いかがでしたでしょうか?
最終的には保険者や指定権者に確認する必要がありますが、事業所内でそんな意見を交わしながら事業所運営するのも楽しいと思いませんか?
運営技術や算定要件を満たすことが大変だとか面倒くさいと思わないで、考えたり工夫することが楽しいと思えるようになれば、おそらくますます業務効率化や生産性向上につながるのだと思います。

昨今のデジタル機器の進化や多彩なアプリケーションの登場は、アンテナを張っていれば重荷になるのではなく、逆にワクワクすることなのだと思うのです。

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