
今年の2月5日に『訪問介護等サービス提供体制確保支援事業』実施要綱が示されました。これは、常勤一人当たり5.4万円相当の『介護人材確保・職場環境改善等事業』とは違う制度なので起きお付けください。それにしても分かりづらい💦
ということで今回は、『訪問介護等サービス提供体制確保支援事業』について解説いたします。
訪問介護等サービス提供体制確保支援事業 それって何?
まずは、それって何?、から。
厚生労働省から示された要綱によると、「人材不足が喫緊の課題である訪問介護等サービスについて、人材確保体制の構築による安心して働き続けられる環境整備に向けた取組や事業所の経営改善に向けた取組を、地域の特性や事業所規模等に応じてきめ細かく支援することで、訪問介護等サービスの担い手の確保及び経営の安定化を図り、地域における必要な在宅介護サービスの提供体制を確保することを目的とする」とのこと。
事業の内容
事業内容は、次の2つからなります。
①人材確保体制構築支援事業…事業所における研修体制の構築や職員が安心して働き続けられる環境整備を支援
②経営改善支援事業…事業所における経営基盤の強化や経営状況の改善等に資するための経費を支援
人材確保体制構築支援事業
人材確保体制構築支援事業は、『研修体制の構築の支援』と『中山間地域等・離島等地域における採用活動の支援』と『経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援』の3つからなります。
①研修体制の構築の支援…経験年数の短いホームヘルパーでも安心して働き続けられるよう、事業所が行うホームヘルパーや介護職員等の資質向上・定着促進に資する研修計画の作成など研修体制の構築のための取組に要する経費を補助するもので、具体的には、
・介護人材の資質向上や定着促進に資する効果的な研修カリキュラムの作成
・見直しやキャリアアップの仕組みづくりに要する費用
・介護職員のスキルアップのための研修等の受講に要する費用
などが補助対象となります。
続いて、②中山間地域等・離島等地域における採用活動の支援…当該地域外の求職者に対して採用活動を実施する場合に、地理的条件等により発生するかかり増し経費(インターンの受け入れや職場体験等を実施するにあたり参加者の滞在が必要となる場合に要する経費、都市部等で実施される合同説明会や就職フェアなどに出展する場合の移動に係る経費等)が補助対象になります。
さらに、③経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援…事業所における経験年数の長いホームヘルパーの技術を着実に継承するため、当該ホームヘルパーが、一定期間、経験年数の短いホームヘルパーや訪問業務に従事した経験のない介護職員等に同行し、訪問介護等サービスの質の確保を図るための技能・技術の向上に向けた指導を行う取組に要する経費が対象となります。同行する回数や期間については、経験年数の短いホームヘルパー等の個々の状況により、事業所により適切に判断することとされています。
経営改善支援事業
経営改善支援事業は、『経営改善支援』と『登録ヘルパー等の常勤化の促進支援』、『小規模法人等の協働化・大規模化の取組支援』、『介護人材・利用者確保のための広報活動に関する支援』の4つからなります。
①経営改善支援…都道府県等が契約した専門家(コンサルタント事業者や社会保険労務士等)を、事業所の経営基盤の強化や経営状況の改善、各種加算の新規取得支援等を目的に巡回派遣するための経費を補助します。また、事業所が個別にコンサルタント事業者等への委託や事務作業を行うための臨時職員を雇用することもでききます。
②登録ヘルパー等の常勤化の促進支援…ホームヘルパー雇用の安定化を図るため、登録ヘルパー等の常勤化を促進するために要する経費を補助するもので、具体的には、
・登録ヘルパー等が常勤職員としての雇用を希望する場合に必要な賃金等(法定福利費等を含む)の差額の経費
・登録ヘルパー等の離職に伴い、新たに常勤のホームヘルパーを雇用する際に生じる賃金等の差額の経費
などが補助対象となります。
③小規模法人等の協働化・大規模化の取組支援…小規模な法人を中心とした複数の法人により構成される事業者グループが、地域の状況や事業規模を踏まえた法人間の連携を促進し、相互に協力して行う人材育成や経営改善に向けた取組に要する経費を補助するもので、具体的には、
・ 人材募集や一括採用、合同研修等の実施
・従業者の職場定着や職場の魅力発信に資する取組
・人事管理や福利厚生、請求業務等のシステム共通化
・物品調達の合理化のための共同購入の取組
・協働化等にあわせて行う ICT インフラの整備
などが補助対象となります。また、対象となる法人の要件は、
・1法人あたり1の訪問介護等事業所を運営する法人
・運営する訪問介護等事業所の月の延べ訪問回数が平均200回以下の法人
・運営する訪問介護等事業所の職員数が常勤換算方法で平均5人以下の法人
になります。
④介護人材・利用者確保のための広報活動に関する支援…事業所が介護人材や利用者の確保のために行うホームページの開設・改修に係る経費や広報宣材(リーフレット、チラシ等)の作成・印刷等の広報に要する経費を補助するものです。
補助額
補助額は、それぞれの事業内容ごとに、実支出額と補助基準額を比較して少ない方の額となります。
①人材確保体制構築支援事業
・研修体制の構築の支援…1事業所当たり10万円
※中山間地域等・離島等地域における採用活動の支援…1事業所当たり30万円
②経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援
・30 分未満の同行支援1回につき 2,500 円
・30 分以上の同行支援1回につき 4,000 円
※経験年数の短いヘルパー1人につき30回まで
※中山間地域等・離島等地域に事業所が所在する場合はそれぞれ3,500円、5,000円
③経営改善の支援
・都道府県がコンサルタント事業者等と契約し事業所に派遣する場合…1事業所当たり30万円
・事業所が個別に事業を実施する場合…1事業所当たり40万円
④登録ヘルパー等の常勤化の促進の支援
・常勤化する登録ヘルパー等1人につき1ヵ月当たり10万円
※3か月まで
⑤小規模法人等の協働化・大規模化の取組支援
・事業者グループ当たり150〜200万円
⑥介護人材・利用者確保のための広報活動に関する支援
・1事業所当たり30万円
介護人材確保・職場環境改善等事業
同時期に発出された『介護人材確保・職場環境改善等事業』とは、補助の要件も金額も全く異なりますのでご注意ください。
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