
今回の記事は、皆様にぜひ知っていただきたい、令和5年度からスタートし、今年度も募集が始まった国土交通省の補助金制度についてご紹介します。
自動車事故によって重度の後遺障害を負われた方の中には、「住み慣れた地域で生活を続けたいけれど、医療的ケアも必要で、人手が足りないのではないか」といった不安を抱える方がいらっしゃいます。実際に、訪問系の介護サービスを提供する事業所では、人材不足が深刻な課題となっており、この状況を改善することが急務とされています。
このような背景から、自動車事故により重度の後遺障害を負われた方が、「介護者がいなくなった後も、安心して在宅での生活を継続できる」という選択肢を持てるよう、国土交通省と厚生労働省が協力して「被害者保護増進等事業費補助金(在宅療養環境整備事業)」という補助事業を開始しています。
「在宅療養環境整備事業」とは?
この「在宅療養環境整備事業」は、自動車事故被害者の在宅生活を支えるために、居宅介護事業所や重度訪問介護事業所の「人材確保」を支援する制度です。
具体的には、事業所を新しく立ち上げる「開設年度」と、すでに事業所を開設している「開設次年度以降」で、それぞれ異なる支援内容が用意されています。
まず、事業所を新しく立ち上げる開設年度においては、介護職員の人材雇用にかかる費用、求人広告を出す費用、そして研修にかかる費用が補助の対象となり、上限額は300万円です。
次に、開設次年度以降の事業所に対しては、介護職員の賃金改善にかかる費用、求人広告を出す費用、研修にかかる費用が補助の対象となり、上限額は200万円と設定されています。
さらに、この制度の大きなポイントとして、定額補助(100%補助)の要件が緩和されたことが挙げられます。これまでは補助率が1/2となるケースが多かったのですが、補助対象年度中に「自動車事故により重度の後遺障害を負った方が2人以上利用している、または利用する具体的な見込みがある」といった要件を満たせば、100%の補助を受けられる可能性があります。これは、事業所にとっても、後遺症を負われた方にとっても非常に大きな支援となるでしょう。
補助金の対象となる事業所
この補助金の対象となるのは、居宅介護事業所および重度訪問介護事業所です。補助対象年度中に、自動車事故で重度の後遺障害を負った方が利用している、または利用する具体的な見込みがあることが要件となります。
公募期間について
今年度の公募期間は、令和7年6月2日(月)から令和7年8月1日(金)までとされています。申請期間が限られておりますので、ご興味をお持ちの事業所の皆様は、ぜひお早めに詳細をご確認ください。
制度に関するお問い合わせ先
制度についてさらに詳しく知りたい方や、応募方法について不明な点がある場合は、以下の問い合わせ先にご連絡ください。
居宅介護事業所・重度訪問介護事業所の人材確保を支援~「介護者なき後」の不安解消を目指し、補助事業の公募開始~
在宅療養環境整備事業
最後に
この「在宅療養環境整備事業」は、自動車事故被害者の方々が住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、そして、その大切な生活を支える介護事業所の皆様の人材確保を後押しするための、非常に重要な取り組みです。
ぜひ貴事業所でも本制度の活用をご検討いただき、介護を必要としている方々へ、支援の手が届くことを願っています。
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