🚨【介護・福祉事業所向け】ランサムウェアに負けない!規模別必須の情報セキュリティ対策「5か条」

近年、ニュースでランサムウェアによる被害が頻繁に報道されています。特に、利用者様の機密性の高い個人情報を取り扱う介護施設障害福祉サービス事業所において、情報セキュリティ対策は、もはや「やっておけば安心」ではなく、「事業継続のために不可欠な義務」となっています。

今回は、大企業のような専門のIT部門がない中小規模の介護福祉系の法人・事業所でも、すぐに取り組める必須の情報セキュリティ対策について、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のガイドラインなどを参考に、分かりやすく解説します。


介護福祉の現場では、氏名、住所はもちろん、病歴、服薬情報、生活状況など、機密性の高い個人情報を大量に取り扱っています。これらの情報が漏えい・紛失した場合、事業所が被るリスクは計り知れません。

脅威1: ランサムウェアによる事業停止と高額な費用

サイバー攻撃の中でも特に深刻なのが「ランサムウェア」です。システムやファイルが暗号化され、身代金(ランサム)を要求されます。

  • 事業停止:システムが使えなくなり、業務が完全にストップします。ある事例では、ランサムウェア感染により、サーバー上のファイルが暗号化され、復旧作業のために時間と費用を費やすことになりました。
  • 情報漏えいのリスク:ファイルを暗号化するだけでなく、情報を盗み出してから暗号化する手口も増えており、利用者様の情報が流出する危険性が高まります。

脅威2: 法令遵守違反による信用失墜と責任

介護福祉事業者は、個人情報保護法マイナンバー法に基づき、個人情報を安全に管理する義務(安全管理措置)を負っています。

  • 顧客の喪失:情報漏えい事故が発生すれば、利用者様やご家族の信頼を失い、事業の継続が困難になる可能性があります。
  • 法的責任:個人情報保護法に違反した場合、個人情報保護委員会による報告・立ち入り検査の責任を負うほか、悪質なケースでは罰則が科される可能性もあります。

IPAのガイドラインでは、企業の規模に関わらず必ず実行すべき重要な対策として「情報セキュリティ5か条」を提唱しています。まずはここから取り組みましょう。

対策項目なぜ必要か?すぐできること!
1. OSやソフトウェアは常に最新の状態に!古いまま放置すると、セキュリティ上の問題点(脆弱性)が解決されず、それを悪用したウイルスに感染する危険があります。自動更新をONにする。使用しない機器もたまには起動して更新する。
2. ウイルス対策ソフトを導入しよう!ID・パスワードを盗んだり、ファイルを勝手に暗号化するウイルスが増えています。対策ソフトを導入し、定義ファイルを常に最新の状態にする。
3. パスワードを強化しよう!パスワードが推測されたり、他のサービスから流出したパスワードを使い回されたりして、不正ログインされる被害が増えています。「長く」「複雑に」、そして「使い回さない」ようにする。二段階認証の利用も検討する。
4. 共有設定を見直そう!データ保管サービスや複合機などの共有設定を間違えたために、無関係な人に情報を覗き見られるトラブルがあります。誰が、どこまで情報にアクセスできるか(アクセス権限)を定期的に見直し、不必要な共有設定を解除する。
5. 脅威や攻撃の手口を知ろう!取引先を装ったメールや、正規サイトに似せた偽サイトなど、巧妙な手口が増えています。経営者や従業員向けに、定期的にセキュリティ教育を実施し、最新の脅威(例:不審なメール)の情報を共有する。

情報セキュリティ対策は、現場任せにしていては機能しません。経営者が率先して取り組みの明確な方針を示し、組織的に実施していく必要があります。

  1. リーダーシップの発揮と方針決定:経営者がセキュリティ対策の重要性を認識し、予算の確保管理体制の構築を決定します。
  2. 現状の把握(自社診断):「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」(IPAのガイドライン付録3)のようなチェックシートを活用し、自社の対策の状況を把握し、できていない対策の実行に努めます。
  3. 従業員への周知徹底:決定した対策(情報セキュリティ基本方針やハンドブック)を参考に具体的なルールを定め、全従業員に教育・周知します。

情報セキュリティ対策は、一度やれば終わりではありません。利用者様の命と生活を守るための大切な情報資産を守るために、事業所の規模に関わらず、継続的に対策を改善・強化していくことが最も重要です。

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