【徹底比較】議事録作成アプリ

今回は、会議の音声データから議事録を作成するにあたって、ChatGPT5、gemini、Whisperの各モデル等を使う場合、それぞれのアプリの特徴とメリットとデメリットを解説してみます。加えて、同時文字起こしのUDトークやGoogleドキュメント、マイクロソフトやWordの機能の文字起こしの特性やメリット、デメリットを加えて、音声データからの文字起こしの概観を整理しました。
リアルタイム性と文字起こしの正確さはトレードオフの関係にあり、どのくらいで妥協するかといった実務的な課題があります。


AIモデルは、「文字起こし」と、その後の「要約・編集」の工程で活躍します。

特徴メリットデメリット
高精度な音声認識特化モデル(OpenAI開発)非常に高い文字起こし精度を誇り、多言語対応も優れる。無料で利用できる実装方法(Google Colabなど)もある。文字起こしのみに特化しており、議事録として必要な要約・論点整理は別のツール(ChatGPT/Geminiなど)が必要。利用には技術的な知識が必要な場合がある。
特徴メリットデメリット
汎用的な大規模言語モデル (LLM)。議事録の「要約・編集・整形」に強力。文字起こし結果の要約、論点抽出、決定事項の整理など、議事録の最終形に近い形に論理的なフォーマットで自動的に整形できる。音声データからの直接の文字起こし機能はない(外部ツールと連携が必要)。情報セキュリティ文字数制限に注意が必要。
注: ChatGPT-4oのように、徐々に音声処理機能が統合されつつあるモデルもあります。
特徴メリットデメリット
マルチモーダルなLLM。Googleのエコシステムとの連携に期待。ChatGPTと同様に、文字起こし結果の高精度な要約・分析・整形が可能。Google Workspace(Docs, Meetなど)とのシームレスな連携が期待される。ChatGPTと同様に、単体で完結した文字起こし機能は持たないことが多い(外部ツールと連携)。新しいモデルのため、利用経験やナレッジがまだ少ない場合がある。

これらのアプリは、会議中にリアルタイムで音声をテキスト化し、データの記録を主な目的とします。

特性メリットデメリット
難聴者向けの情報保障をルーツに持つ、リアルタイム翻訳・文字起こしアプリ専門用語や方言への対応力が高く、多人数での共有や、発言者の識別が比較的容易。情報保障としての実績と信頼性がある。リアルタイム性に特化しているため、議事録の要約・整形機能は弱い。発言者の発話内容を修正できる機能はあるが、最終的な議事録作成には別途編集作業が必要
特性メリットデメリット
Webブラウザベースで動作するクラウド上の文書作成ツールの機能。無料で手軽に利用でき、Googleドキュメントにリアルタイムでテキストが記録される。クラウドに自動保存され、共同編集も容易。議事録のフォーマット整形や要約は手動で行う必要がある。発言者の話者分離(誰が話したか)の機能が弱い、または限定的。
特性メリットデメリット
WordやMicrosoft 365のサービスに統合された文字起こし機能。Microsoft製品に慣れたユーザーには使いやすい。録音ファイルからの文字起こしにも対応し、話者分離機能を持つ。Wordファイルとしてローカル保存が必要になる場合があり、クラウドでの共同編集の利便性はGoogleドキュメントに劣ることがある。機能の利用にMicrosoft 365のサブスクリプションが必要な場合がある。

現代の議事録作成は、単なる「音声の文字化」から「情報の整理・共有」へと目的が進化しています。

  • 最高の精度を追求する場合:
    • Whisperで高精度な文字起こしを行い、そのテキストデータをChatGPTやGeminiに入力して要約・整形させるハイブリッドなワークフローが、コストパフォーマンスと品質の面で最も優れています。この組み合わせは、AI技術の役割分担(文字起こしと要約)を活かした最適解です。
  • リアルタイム性と手軽さを重視する場合:
    • UDトークやGoogleドキュメントは、会議中に議事録の元データを参加者全員で共有・確認できるという透明性と即時性に優れています。ただし、最終的な議事録の完成度(体裁、論点の整理)は、AIモデル連携型に劣ります。
  • ビジネスユースでセキュリティや既存システムとの親和性を重視する場合:
    • Microsoft Word/365の機能は、既存の社内システムとの連携やセキュリティポリシーの観点から選択されることが多いです。

議事録作成の効率化は、「どれか一つのツールで全てを完結させる」のではなく、「高精度の文字起こしモデル」と「優れた要約・整形能力を持つLLM」を組み合わせることで、最も高い効果を発揮します。会議の目的や参加者の状況に応じて、最適なツールやフローを選択することが重要です。


また、高精度な議事録作成を実現するために、Whisperで作成したテキストデータ(文字起こし結果)をChatGPTに渡して議事録を整形・要約させる際の、効果的なプロンプトの例をいくつかご紹介します。
プロンプトは、単に「要約して」と伝えるよりも、「どのような形式で」「何を抽出してほしいか」を明確に指示することで、アウトプットの質が格段に向上します。


📝 WhisperテキストをChatGPTで議事録化するプロンプト例

決定事項、論点、タスク(TODO)を明確に抽出させるための基本形です。


タスク管理や進捗管理を主眼に置きたい場合に有効です。


意見対立やブレインストーミングなど、個々の発言者の視点を明確にしたい場合に適しています。


  1. 役割を与える:
    • プロンプトの冒頭で「あなたはプロの秘書です」「あなたはプロジェクトマネージャーです」などとAIに役割を与えると、その立場で適切な文章表現や構造を選択しやすくなります。
  2. 出力形式を明示する:
    • 「必ず箇条書きで記述」「決定事項は太字に」「Markdown形式で出力」など、アウトプットの形式を具体的に指定することで、整形の手間が省けます。
  3. 制約条件を与える:
    • 「会議全体で重要なキーワードを5つ選んで」や「全体の文字数を500字以内に収めて」など、具体的な制約を加えることで、必要な情報が凝縮された議事録になります。

これらのプロンプトをベースに、会議の性質(営業会議、開発会議、ブレストなど)に合わせて調整していただくと、議事録作成の効率と質を大幅に向上させることができます。

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